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名盤リワインド⑮ ロマンス~フルート&ハープ名曲集 / ノヴォトニー(Fl.),ボウシュコヴァ(Hp.)

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WBCワールド・ベースボール・クラシックで日本は悲願の世界一に返り咲いたけども、その道程で我々はいくつかの素晴らしいスポーツマン精神をもつ国と出会った。チェコもそのひとつだ。普段は社会人として別の仕事を持っている選手が多数で、奇を衒(てら)うことなく野球を楽しんでやっていた。情緒があり、素朴で、物事へのリスペクトがある。日本でもその姿勢に好感を持った人が多かったようだ。音楽の世界でも、実はこうした資質がそのまま当てはまるのではないかと考えた。

ハープの世界でチェコといえば、思い出すのはヤナ・ボウシュコヴァだ。懐が深く、もちろん技術は卓越しているが、鼻持ちならない傲慢さは欠片もない。ハープを愛してやまないオーラが体全体から横溢しており、どんな曲であっても正面から素直なアプローチをし、聴く者へ素晴らしい還元を施す。最近は、もはや比類なき大御所になってきているので、周囲も重厚なセレクションを要求するようだが、自分はこのアルバムのように、明らかにハープとフルートという相性抜群のマリアージュを、広範に親しみやすく伝播させようという意図をもって、実にインティメートな演奏を展開しているヤナの姿の方に好感を持つ。フルートのノヴォトニーはチェコ・フィルハーモニーで首席を張った人。ボウシュコヴァ同様、チェコの至宝といって良い。同郷の二人が、あの往年のランパル&ラスキーヌとは違った形で、クラッシックのスタンダードばかり選び、楽しんで演奏しているような雰囲気は、あのWBCのチェコの代表選手たちのように、真剣に、だが気持ちに余裕をもって、野球を心から愛した姿に重なるものがある。名盤・・・という敷居の高さを感じさせない、だが埋もれさせておくには、実に惜しい好盤なのである。

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