※この記事はハープライフWEBから転載しています。
国際ハープフェスティバル草加に、今回演奏のみならず、指揮者、審査員としても参加したアレクサンダー・ボルダチョフへ、早速インタビューを試みた。
ーさて今回は、日本で伝統ある草加の国際ハープ・フェスティバルへ招かれたわけですが、まずは感想をお聞かせください。
ボルダチョフ:とても楽しい経験だったよ。日本の公演ではソロ演奏が主体になりがちだけど、リハーサルが一回しかできなかったけど今回は指揮棒まで振ったし、他の楽器との共演まで、ハープを介して日本の皆さんと交流できたのが良かった。あと(景山)梨乃さんとの再会が嬉しかったな。彼女とは、世界の幾つかのコンクールで競っていたことがあるんだ。僕は一度も勝てなかった思うけど(苦笑)。
ー今回、フルートのcocomiさんとも共演しましたよね?
ボルダチョフ:そうなんだ。彼女は、とてもプロフェッショナルな意識のある人だよ。言葉や楽器による意思の疎通も問題なく、「天空の城ラピュタ」の曲、春の海など、日本ゆかりの曲もやったんだ。モーツァルトもやったけど、彼女には初めての演奏する曲だったというが、それにしてはとても良かったよ。やはりフルートとハープ、相性がいいね。演奏していて、とても楽しかった。
ー10代の頃の初来日して、あなたの来日歴も20年近くと、今やかなりのものになっています。あなたの目からみて、日本のハープ・シーンはどう映っていますか?
ボルダチョフ:とても進化してきていると思う。理由は、20年前と比べてハープのコミュニティが拡がっているからだよ。何でもそうだと思うけど、情熱が上達や進化を促す。今や日本にはどのレベルでも熱心な生徒がいて、先生がいる。この間も、金城学院でクリニックをやったけど、学校レベルでハープに力を入れるところもでてきた。素晴らしいことだ。こうしたサークルがさらに世界に対してもっと拡がっていくと、日本のハープ人口はもっと増えると思うな。
ー進化といえば、最近エレクトリックハープが演奏する側も製作する側も増えてきて、あなたはレミー・ヴァン=ケステレンと共に、屈指の使い手の一人として認識され始めているけれども、あなたはこの傾向をどう捉えていますか?
ボルダチョフ:実はエレクトリックハープ自体は、最近の発明ではないんだ。2000年代に入る前からあったし。ただ、これまでは、風変りで高価なオモチャだった。昨今のエレクトリックハープは、性能的には格段の進歩を遂げているし、しかもハンディになっている。今僕は、「ハープE」というデルタのDIY版のような小型エレクトリックハープを旅に携帯しているが、僕のような立場ではハープを持って歩ける状況は本当にありがたい。また、音楽的にも現代ではエレクトリックは不可避になっている。ステージでの音響の合わせも楽だしね。だがハープは伝統的な楽器であり、その弾き方のテクニックやノウハウは継承されており、たぶんレミー(ヴァン=ケステレン)も同じ意見だと思うけど、あくまでもハープの基本をマスターした上での活用であることを忘れてはならないと思うよ。