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編集長インタビュー:ダン・ユー 香港ハープ事情

インタビュー

※この記事はハープライフWEBから転載しています。

ご存知のように、香港では動乱があった。しかも世界的なコロナ禍が重なった。TVやメディアで動向を見聞きするたび、ハープ界の人間としては、まずダン・ユーの消息が気になった。香港でハープの第一人者といえば彼女であり、最近世界で台頭著しい香港の若手のハーピストたちは、まず間違いなく彼女の薫陶を受けているといっても過言ではないからだ。香港ハープ界の重鎮は、今どうしているのか。街全体が復調に向かっているとの情報に接し、ダン・ユーに話を聞くことができた。

ここ数年、香港では混乱が続いていました。日本ではあなたの消息を心配する声も多く聞かれました。まずは、現在の状況をお聞かせください。

ダン:皆さん、日本の友人たち、ご心配いただき本当にありがとうございます。確かにここ数年の香港は大変な時期が続きましたが、現在、香港での生活は徐々に軌道に乗りつつあります。通常の学校では、マスクと免疫注射が義務付けられ、生徒たちは対面式の授業を再開しています。私たちハープを教える者からすれば、(オンラインが多いので)常にダイナミクスや音質に逐一気を配る必要がないのが、特にうれしいですね(笑)。

最近では香港で国際コンクールが開催されるなど、徐々にハープのイベントが活発になってきている様子がうかがえます。現在の香港のハープ界について教えてください。

ダン:香港では、3歳から大人まで、常に多くのハープ学習者がいます。試験やコンクールへの参加も盛んになってきました。私たちのコンクール「香港国際ハープコンクール」は、2020年から毎年開催されるようになり、昨年はオンラインコンクールにしたのですが、300人の志願者が参加しました。今年もオンラインで行うので、さらに多くの応募が見込まれます。実は香港で開催されたワールド・ハープ・コングレス(2017年)の後、私が教えている香港ハープ・チェンバーで、ワールド・ハープ・アカデミーが始まったのですが、そのプロジェクトのひとつが、パンデミック中に開花した「オンライン・マスタークラス・シリーズ」です。現在までに8人の世界的なハープ奏者・講師がオンラインで生徒を指導し、多くのハープ奏者たちが自宅からオンラインで視聴して各自色々な恩恵を受けました。

先月は海をテーマにしたコンサートに参加され、たいへん好評だったとか。日本の武満徹の曲も演奏されたそうですね。

ダン:5月のコンサートでは、マエストロ・ターヴィ・オラモ指揮の香港フィルと、香港フィルの首席フルート奏者であるメーガン・スターリングと共演できたのは光栄なことでした。1月下旬以降、香港のコロナ事情が悪化し、すべての公共イベントがキャンセルされました。そして3ヵ月後、ようやく政府が再開を発表し、私は幸運にもロックダウン後初の公開演奏を香港フィルと行うことができたのです。そこで、武満さんの「海に向かってII」を演奏するのは本当に楽しかった。彼の曲を演奏するのは初めてでした。最初は理解するのが難しかったのですが、すぐに彼の音楽の美学に魅了されました。この曲、いつか日本で演奏できたらと思います。

あなたが無事で何よりです。今後の活動についてお聞かせください。

ダン:香港では、シティ・チェンバー・オーケストラと一緒に、パリッシュ・アルヴァーとマルヤン・モツェティッチの「2つのハープのための協奏曲」を演奏する予定があります。また、来年2月には香港芸術祭の一環として、キングス・ハーモニカ・クインテットと共演し、エドワード・キプルスキーの「ハープと弦楽四重奏のためのコンチェルティーノ」を編曲して演奏する予定です。

Special Thanks to Ava Lau

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