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【CD視聴レビュー】Original Irish harp Sound「Fairy」 / Chifumi

Fairy / Chifumi

アイリッシュハープによる御伽草子が届けられた。全編アイリッシュハープが好きでたまらないといった慈しみに溢れ、Chifumiによるショート・ストーリー7編が織り込まれた音のタペストリーは、どこまでも人懐っこくて、聴く者の耳をとらえて離さない。

Chifumiの奏でるアイリッシュハープには、明確なカラーがある。彼女のパレットに載った音たちは、それぞれのストーリーにおいて実に印象的な音像を残してゆく。たとえば3曲目「Blue Dolphins」における、まるでスティールパンでイルカの躍動感と瑠璃色の海景色を表現するような音色。5曲目「Voce ヴォーチェ」におけるハープシコードなような語り口で、人びとが希求する平和の祈りを表現するなど、こうした音の魔術にしばし驚かされた。改めてアイリッシュハープとは、大いなる可能性に満ちた楽器で、それは断じてグランドハープの小型版ではなく、ひとつの個性を確立した楽器であることを再認識する。このアルバムの7つの小さな物語は、単に妖精たちが囁く御伽噺のみならず、行ったことがないけれど、どこか懐かしい心象風景を、私たちに見せてくれることだろう。

時の移ろいによって、ハープの響きも様変わりするのだろうが、思いを籠めた音楽には時空の隔たりや国境はない。かつてターロック・オカロランが巡った、アイルランドから英国にあるかもしれない現代の“海の見える丘”を、きっとこのアルバムを聴きながら歩いてもけっして違和感を覚えないのだろうな・・・そんなことを夢想した。

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