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Vol.3 ドイツ人作曲家たちのハープ・ソロ作品集 / マルギット=アナ・シュース

銀座十字屋で取り扱うCDの中から、スタッフが実際に聴いてみて、みなさまにおすすめしたいCDをレビュー形式でご紹介します。CDレビューの一覧はこちら
 

 


ドイツ人作曲家たちのハープ・ソロ作品集 / マルギット=アナ・シュース

ハーピストが、先人たちの遺したソロ・ピースを単に奏でるというのはコピーに過ぎない。時代にコミットしようとする者は、遺産を鵜呑みにするのではなく、自分が敢えていまの時代に語るべきことを付加して、次代へリレーしようとする。本作でのシュースの試みは、自らの出自であるドイツに先ずは範を求め、バロックから現代まで、原曲・編曲を吟味し、ハープでしか再現できない曲ばかりではなく、むしろハープで演奏するからこそ可能性を提示できる曲も織り込んで、私的なハープ小史を編み上げる作業である。

バロックの音楽には、端正で美しい音色を意識し、近代では大胆で収まりのよいハープの塩梅(あんばい)というものを心憎いまでに調整し、バッハ、ハイドンからシュポア、ヒンデミット、そしてハメルまで、これだけの年月と作家の偉業を俯瞰した割には、全体のトーンに違和感のない、直感的な面白さを展開している。特筆すべきは、ハメルの「ハープのための小品」でのインド音律を含んだハープ解釈とヒンデミットの多作の割には本曲が彼のハープ作品の代表作である「ハープのためのソナタ」の決定版的演奏であり、これらは感嘆と瞠目を呼ぶだろう。

 


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