良質のハープをもっと世界へ広めたい。
そんな夢を、ライオン&ヒーリーは叶える秘策を温めていました。
以前、本社の在るシカゴが大火で焼けたとき、大恐慌で生活様式が一変してしまったとき、この会社はユーザーの視点を重視しながら、製品をよりコンパクトに、価格も据え置き、品質だけはどこよりも高く維持しながら、何度もシーンを再活性化してきたのです。実際、グランドピアノに代わり、小さくてもグランドと遜色のないアップライトピアノを仕掛けたのも、ライオン&ヒーリーでした。
ハープでは、トルバドールⅥが成功事例と言えるでしょう。まず、全国のハープ講師に小型の、しかしビッグサウンドの試作をモニター配布しました。しかも、ハープ講師サム・ミリガン氏が作成した「Fun from the First Vol.1」という教則本まで付けるという念の入れようで、今ではこの教則本がレバー全機種に付いてくるという伝統もここから始まりました。扱いやすく、ペダルハープと同じ弦/等間隔の配置であり、さらに3/4オクターブ範囲を誇り、何より音質も素晴らしかったため、評判は瞬く間に広がったのです。そのトルバドールⅥが、今年で製作60周年アニバーサリーを迎えました。
トルバドールⅥは、これまで累計1万台以上作られており、無論レバーハープでは最多です。表記のⅥとは、初代から数えて6世代目(2006年から現在)のトルバドールということであり、時代を超えてこのハープがいかに愛されてきたかを雄弁に物語ります。物事の価値観を変えてしまうツールというのは、一般的な感覚とは異なったアングルから捻り出されたものが多いですが、トルバドールの最大の特長とは、レバーハープであってレバーを超えた何かを感じさせてくれるところでしょう。試作の段階からこのハープは、“旧来のレバーハープ”を創ろうとしてできたものではなく、ライオン&ヒーリーがペダルハープ製造で培ったノウハウや音質を、いかにコンパクトなフォーマットへ封じ込めるかというコンセプトがまずあって、アメリカではこのハープが作られ始めた1960年がまさにモータリゼーション(車社会)元年であったこともあり、ハープを自在に持ち運べるような時代が来るという目論見も手伝って、むしろレバーという小型フォーマットを採用したという背景があったのではないでしょうか。
つまりトルバドールは、格式や誕生背景が、「世界一完璧なペダルハープを作ってみせる」と創業者のヒーリーが宣言して作られたスタイル23を髣髴とさせるものであり、年代を経ても支持され続けるところまでそっくりです。差し詰め「レバー版スタイル23」という位置付けであるといっても差し支えないでしょう。現代のレバーハープのスタンダードといえるトルバドールⅥ。ぜひ、銀座十字屋で試弾して、そのサウンドの確かさと本物だけがもつプレステージな質感を体験いただき、あなたのコレクションに加えてください。
トルバドールⅥは、6月12日・13日アーク栄サロンホール(愛知県名古屋市中区栄)で開催の「世界2大ハープメーカー 銀座十字屋ハープ試弾フェア2021」でも試弾いただけます。
フェアに関する情報は<コチラ>